田舎の零細企業の経営者に見るジェネラリストとスペシャリストの影

大企業で100億円の案件を担当するより、自営業で1億円の案件を実施する方が100倍勉強になる。よく言われる例え話ですが、実感する日々です。

人事、予算、総務、調達、契約、監督、実施、監理、評価、交渉、渉外、広報、表敬など、全て一人で判断し、仕事を前へ進めていく必要があります。

日本ではジェネラリストが自虐的にバカにされる傾向がありますが、歯車をスムーズに回していく能力はある意味で全知全能を求められる神業でもあります。

それを当たり前のように求められ、その中で一本専門性の軸を立てることを求められる日本のサラリーマン経験は血となり肉となっています。一通りやったことがあるという自信は、必ずどこかで役に立ちます。

今の仕事で最も難しいのは専門性の蓄積です。社会保障という広大な砂漠に、一本一本木を植えていく作業です。ベトナムで年金政策を議論した翌週に、インドネシアで雇用保険について議論しなければならないわけです。もちろん全てのスキームを熟知している人はいませんから、付け焼き刃の知識を積み重ねながら皆、専門家の階段を登っていくわけです。

また、意味のある専門性は座学では育ちません。一度植えた木は、水を与え続けなければ育ちません。広大な砂漠へ木を植え、水を与えて歩き回る。地道な作業です。

終わりのない自転車操業の中で専門性は蓄積されていくのです。目の前でプレゼンをしている専門家は、昨夜プレゼンの準備をしたから専門家となったわけです。

田舎の零細企業。専門性とマネジメント。本を読むより勉強になります。