インドネシアの年金改革が佳境な訳
インドネシアは向こう百年の命運を懸けた帰路にある。20年後の2045年までに世界4位の経済規模になることが予測される。経済規模が大きい小さな政府か、政府支出の多い福祉国家か。省庁は今日がラマダン開け前最終日で仕事納め。午前中一杯、年金改革の方向性を議論。
財務省が所管のフィナンシャルセクター改革法案(通称P2SK法)があっという間に可決され、「財政規律」を重視する方針が示された。年金改革に関して言えば、公的確定拠出年金(JHT)を強化し、公的確定給付年金(JP)に重きを置かない方向に見える。
日本の制度に例えて言えば、国民年金が存在せず、二階部分の厚生年金は手薄で、三階部分のIdecoの掛金を大きくする印象。
これを実施すれば、給料の高い人は退職時にある程度のまとまった金額がJHT口座にある一方、給与の低い人は死ぬ前に資産が枯渇する恐れがある。また、税源の投入による国民年金のような一階部分が存在しないため、7000万人の自営業や3000万人の専業主婦は無年金で退職することとなる。
緊縮財政で手薄い社会保障を目指すか、手厚い年金制度へ変革して今後引退する現在未加入の1.4億人に年金給付するか。米国のように個人の投資環境が備わっているわけでもないインドネシア。個人貯蓄も老後何年でこかつするのか。この規模の無年金老人を生活保護のみで支援するのは厳しい。
インドネシアはどちらへ向かうのか。この一年、私たちは福祉国家を目指す政策を支援していきます。レバラン明けから、政府の全国行脚が始まる。労働者や使用者や自治体と改革方針について議論する。