産休制度改正によるインドネシアの日系企業への影響について解説

インドネシアで女性と子供の福祉に関する新しい法案(通称KAI法)が可決されただ。この法案は2、3年前に国会に提出されたもので、女性省を中心に関係省庁や労使団体とのパブリックコンサルテーションを重ねてきた。

法案の主な内容は、女性が働きやすい環境作りと子供の福祉に関するものだ。具体的には、産後の授乳時間の確保や、企業に育児・託児所の設置を促すなどの施策が含まれている。

社会保障との関連で注目すべきは、産前産後休暇の延長だ。現行の労働法(2003年制定)では3ヶ月だった休暇期間を6ヶ月に延長する。ただし、追加の3ヶ月は強制ではなく、使用者と労働者の合意による任意休暇となる。医師の診断書が必要なため、実際の運用は今後の政府規則次第だ。

賃金補填については、4ヶ月目までは100%、5-6ヶ月目は75%を使用者が負担する。これは一見素晴らしい進展だが、コンプライアンスの問題が残る。大企業では遵守されるだろうが、多くのインドネシア労働者にとっては、使用者の支払い能力や遵守意思、政府の法執行力にかかっている。

日系企業は法令遵守の傾向が強いため、この新制度への対応を厳しく求められる可能性が高い。

ILOとしては、産前産後の賃金補填を社会保障制度に組み込むことを目指している。これにより、個別企業のコンプライアンスに左右されず、すべての労働者が安心して産休・育休を取得できる社会の実現が可能になる。ILO条約183号では、67%の賃金補填で14週間の休暇付与を最低基準としている。

我々の試算では、保険料はタバコ1箱分程度で、多くの労働者にとって負担は軽いはずだ。このような制度がないのは東南アジアではマレーシアとインドネシアだけだ。インドネシアがOECD加盟国となり、東南アジアのリーダーとなるためには、こうした社会制度の整備が重要な一歩となるだろう。

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※この記事は、AIが筆者の音声ファイルを文字起こし・執筆し、筆者が編集したものです。