人のせいにせず、自ら汗をかくこと

人のせいにせず、自ら汗をかくこと。これを大人に指示することはとても難しい。

技術協力プロジェクトで設定する指標は、研修数と参加者数であることが多い。しかし、インドネシアには、こうした数字を記録することができる人材が極めて少ない。2018年頃から足掛け5年、インドネシアの人々と仕事をしているが、参加者リストや参加者数を毎回遅滞なく纏めることができたためしは一度もない。「この際、日本野鳥の会へ委託しよう」と、何度考えたことか。

インドネシアではマルチタスクができる人材が極めて少なく、よって、管理業務ができるマネージャー職に適した人材は希少だ。日本では嫌われるが、インドネシアではマイクロマネジメントができる人が優秀なマネージャーと聞いたことがある。私も実感があって、一週間前に依頼した業務の進捗が上がってこないので、聞いてみると取り掛かっていないことが多く、依頼したことを忘れているケースも多い。毎日目を光らせ、リマインドを続けて初めて納期に間に合うケースも少なくない。

会議の参加者数のカウントに話を戻す。私が欲しい情報は単純で、会議の出席者リストと参加者数(男女別、所属別)の二点だ。なぜ、これを作成できないのか問うと、「(10人程度の会議で)会議主催者に聞いてみたところ、手書きのリストを入手しましたが、読むことができません」という回答が多い(先方機関でも読めない書類を証拠として形だけ保管することが常態化しているのだろう)。「先方が準備できないとわかっているのであれば、(会議場に一緒に参加しているので)自分で数えればよいのでは?」と問う。「それはできますが、知らない人も多いので所属がわかりません」と返答。「わからなければ本人に聞いてみては?」と問う。

つまるところ、人のせいにし、自ら汗をかくことを避ける。こういうやり取りはもう6年くらい続けているが、これを大人に教育し、徹底させることはとても難しい。