世界寄付指数と社会保障

よくある釣り記事ですが、引用されている世界寄付指数のランキングの上位にいる国は社会保障の観点から見ると興味深いです。

上位にいる国は社会保障が未整備か、税源で社会保障を賄っている国が多いです。特に、旧英国植民地は税源で貧しい人を救済する社会保障が多いです。これはドイツの社会保険ベースの社会保障制度と異なるアプローチです。

たとえば、上位のオーストラリア、ニュージーランド、イギリス、シンガポール、ケニア、ミャンマーなどは税源で貧困層を救済するために所得に応じて給付される制度が多い国です。

上位にいるアメリカやシンガポールは社会保険を通じて再配分するのではなく、貧しい人へ税源で最小限の給付を行い、中間層、高所得層は個人年金のような形で積立てた分だけもらえる自己責任の要素が大きい制度設計となっています。

このランキングが不公平なのは、社会保険の支払いを他のための「寄付」とみなさず、日本のサービス残業や給与に直接反映されない仕事を通じた丁寧なサービスが反映されていない点です。

社会保険の基本理念には、保険料の支払いを通じて皆で資金をプールして、困ったときにはそこから支援するというものがあります。保険料は英語で、Premiumと呼ばれますが、Contributionとも呼ばれますが。Donationではないですが、理念は寄付に近いものがあります。

こういうランキングや指数は恣意的にある側面を大きく見せるためのもので、ルールを作る側がどこまでも操作できるものです。保険料の支払いや仕事のサービス精神(サービス残業は悪ですが)などを鑑みれば、下位グループが上位になると思いますがどうでしょうか。

人助けをしない日本人に「グローバル人材」は無理

今年10月、英国に本拠を置くCAF(Charity Aid Foundation)が、2022年版「世界寄付指数」を公表しました。 同指数は、世界119カ国を対象に、過去1カ月間に「見知らぬ人、もしくは助けを必要としている人を手助けしたか(人助け)」「慈善団体に寄付をしたか(寄付)」「ボランティア活動に参加したか(ボランティア)」などの質問を行い、その結果を指数化・ランキング化したものです。