国際協力に携わる中で、難しいと感じることは?
(この記事は、2012年に実施したアイパル香川での高校生向けの講演会の質疑応答を元にしています)
国際協力には色々な立場と利害関係を持った人が関わっており、それぞれの立場を理解しなければ何事も上手く進まないことが多々あります。それが難しい点です。
政府系国際協力団体(JICA等)は国益、国連機関は加盟国や拠出金の比率の高い国の意向を反映した戦略を立てる必要がありますし、NGOは活動資金確保策を常に考える必要があります。
途上国政府でも省庁間のしがらみや序列を理解し、正しい省庁、担当官へ適切なタイミングでアプローチすることが成功の秘訣かもしれません。
このあたりが難しい点ですが、個人的には日本人が得意とする能力の一つかと思っています。
余談ですが、仕事として国際協力を行うと決めたときが実は一番不安で、難しい決断でした。日本の国際協力業界は小さいです。その中で生きていけなくなったとき、どうやって生きていこう。そんな不安を解消して国際協力の道へ入る決断が一番難しかったです。
実は、世界を見渡せば、国際協力業界は大きな一つの産業となっています。実力、学歴、経験があれば、優秀な人には多くの仕事が待っています。向こう40年のキャリアを考えたとき、そうした国際的に通用する人材になろう、という意気込みが僕の決断を後押ししました。