農民と同じ目線で話すこと
インドネシア東ジャワ州のJember地方に来ています。首都ジャカルタから第二の都市スラバヤを経由し、観光客に一人も出会わないこの地へやってきたわけですが、ここから更に山奥へ40分車で移動します。そこにあるのが今回の用務先シドムリヨ村です。
1.3万人の村人のほとんどがコーヒー農園で生計を立てています。村長さんの挨拶で幕を開けた会合は、社会保障への加入を促すためのワークショップです。社会保険庁の役人も同席していますが、あくまで主役は農民であり、農協の皆さんです。
ILOの職員が農民相手に直接プレゼンすることは珍しいようで、同僚もはじめての経験だと言っていました。トップバッターの私は場の雰囲気がわからない中で前日にプレゼンを準備したわけですが、農民の関心を惹くためのトピックというのは意外に難しいです。
特に私に与えられたお題が「世界の社会保障」ですから、はじめから関心のないトピックとわかりきった負け試合へ望む気持ちでした。結局、私の地元の村の歴史の中でどう社会保障が関係してきたかについて話しました。
やはり、身近な問題のほうが良いようですね。世界の社会保障について話す際、政策レベルで働いている役人向けには国際統計や国際基準について話します。しかしここでは、自分の村がどのようにして社会保障を拡充してきて、自分の家族がどういった社会保障に加入しているのか。そういった具体例を笑いを取りながら話すのが、成功の鍵のような気がします。
ラマダン期間中のワークショップの運営や、終わったあとの食事会の一体感など、色々な面で勉強になりました。
明日ジャカルタに戻り、省庁、組合、商工会と打ち合わせです。