VARで迎えるサッカーの新時代と寂しさ

日本は強い。日本人は強い。日本がドイツに勝った。

映像の観戦者が厳密なジャッジを求めるようになり、テクノロジーの介入がゲームを凌駕する新しいサッカーの幕開け。かつてはセットプレー時の審判の目線はボールと選手を往復したので、選手はポジション取りで汚いことや荒いことをやる練習をしこたまやった。今やVARで審判が見ていなくても巻き戻してPKとされてしまう。オフサイドも目視できる副審の判断があったが、今はテクノロジーに依存する。サッカーは現場の要請ではなく、映像観戦者の要請でここまで来た。

不器用でずる賢いダーティーなプレーヤーだった私は、少し寂しく感じる。テクノロジーが厳密さを追求する世界においては、研ぎ澄まされた器用なエリートは活躍するが、ダーティーな曲者は活躍の場を失わないか。サッカーのいち側面が失われていく岐路となるワールドカップのようだ。

日本の弱さを集約したような試合だった。相手が強ければ良い試合を、弱ければ相手に合わせて緩慢な試合を。どんな相手でも決め切ることが、強さ。世界と日本の差を感じた。