今月のニュースの読み方(2024年7月)

主にNewsPicksで国際協力・政治・社会・文化など様々な分野のニュースにコメントしています。この記事では一ヶ月分をまとめて掲載しています。

国民年金の積立金は35年後に枯渇する… 財政検証で示された「最悪のシナリオ」回避するための課題は?(東京新聞)

枯渇しないように改正を行うので枯渇はしませんが、2059年に積立金がなくなるシナリオは緊迫した状況。ILOがベトナムへ助言した際の年数とほぼ同じで世論が動きました。ILO社会保障の最低基準条約との関連から給付水準の抑制は下限が近いはずで、抑制によって年金財政を維持することは難しい。定年を延ばすことも抑制策ですが、ILO条約との関連で65歳より上にするのは難易度が高いはずです。そうなると保険料の値上げと賃上げが、財政安定化のインパクトが大きいパラメーターの調整です。保険料あげるのが一番効果的ですが、政治的には容易ではありません。よって、皆がハッピーになれる策は賃上げということになります。だから、日本の社会保障の未来のためには賃金上げるしかないんだよ、という話になるのです。

GPIF 2023年度の運用実績は45.4兆円の黒字 黒字額は過去最大 株高と円安が寄与(TBS)

投資家目線ではパッシブ運用の鏡ですね。ただ、運用益は実は年金財政安定化への寄与度は小さいので、給付上げろ等はナンセンスです。年間予算60兆円の支出が百年増加し続けても大丈夫な状況にするにはどうすべきか。その観点からは、45兆円の短期的な利益は比較的インパクトは小さいのです。なお、ポートフォリオへの株式組み入れ比率50%というのは世界的に見ても多めで、精一杯リスクとっている感じです。だから運用が年金財源の助けになるという過剰な期待は禁物。鍵はやはり賃上げです。

根拠ある政策、海外が先行 米国はEBPM基盤法 エビデンス不全(毎日新聞)

どういう政策にエビデンスを要求するかは要整理。政治、行政が即断しなければ手遅れになる政策は多く、エビデンスを待っていると遅すぎることが、研究者優位の行政機構を持つインドネシアでは散見されます。