ベーシックインカムの本質
ベーシックインカムについて金を貰える側面ばかり議論されているが、財源を考えれば、本質は社会保険のカットが念頭にあるわけで、結局誰が金を払うかを議論しなければならない点で従来の社会保障政策の議論と大差ない。
ベーシックインカムを実施した場合、最大の課題はスキームの持続性。財政の持続性については、経済が停滞して政府財源が逼迫したら終わり。政治の観点から言えば、政府が他の重点分野に可能性を見出して予算を振り分ければ終わり。社会保険の場合は、少なくとも保険料部分は政治に左右されない。
ベーシックインカムの財源は税財源なので、石油補助金や累進課税から確保するか、社会保険制度を縮小・廃止することで確保することが念頭に置かれる。つまり税財源の確保がベーシックインカムの本質であり、政権交代や経済危機で簡単に財源が揺らいでしまうリスクは大きい。
ベーシックインカムの可能性が再び議論され始めた背景には技術革新と巨大なインフォーマル経済がある。正規雇用を前提とした従来の社会保険制度では対応できなくなりつつあるとうう論調。しかし、過去100年間、今の先進国はインフォーマル経済を縮小し、技術革新も経験してきたのに社会保険はある。