国際機関へJPOとして赴任されるみなさんへ

最近、これからジュニアプロフェッショナルオフィサー(JPO)として着任される方へのアドバイスを求められました。ここをご覧の方で関心をお持ちの方もいると思いますので、シェアさせていただきます。

JPO在籍中の語学学習に関するアドバイス

ILOのポスト獲得に際しては、一般的にフランス語の重要性が強調されます。一方、部署によっては相当の差がありそうです。社会保障局でも仏語話者は多いものの、政策担当部署であるが故に、社会保障政策に関する知見に秀でている人材が最も重宝される傾向にあります。実際に、専門性に優れた人材が採用され、着任後にフランス語をビギナーレベルから履修するケースもあります。こうした状況を踏まえれば、JPOの限られた2年間の中で、語学習得と専門性の向上のどちらに重きを置くべきかは難しい判断となるでしょう。私の場合、語学の自己研鑽については3ヶ月間の仏語履修を経て、英語のレポートライティングへ切り替えることにしました。政策文書の草案作成が業務であることから、一つの言語でより優れた草案を効率よく書くことへ時間を割くことにしたわけです。これが功を奏するかはわかりませんが、JPO期間中の語学習得については所属部署や担当業務に応じて臨機応変に戦略を変えるのも大切だろうとは思います。

新しい言語を学ぶモチベーション | Ippei Tsuruga

ジュネーブの公用語はフランス語です。 そのため、ジュネーブにある国際機関に勤務している人の多くはフランス人だったり、フランス語を話すヨーロッパ人です。 もちろん、フランス語を話さない私のような外国人スタッフもたくさん働いており、仕事をする分には英語だけで事足りる感じです。 …

生活面・健康面でのアドバイス

私のように政策部門で仕事をする方は、精神的な健康により気を遣うと良いでしょう。率直に言えば、欝にならないように自分の精神力と向き合うことが大切です。ILOの政策部門で仕事をしていると、一人でパソコンと向き合って仕事をする日々が延々と続きます。同僚との協力関係は極めて希薄で、各自が自分のトピックで政策ペーパーやその他刊行物を淡々と書き上げていく作業の連続です。例えるならば、大学の研究室で論文を書いている状況が2年続くイメージでしょうか。また、ジュネーブの冬は、3ヶ月間一度も太陽が顔を出しません。この憂鬱な空模様で精神的に追い詰められてしまう方も多いようです。2年間の限られた期間で焦りもありますが、適度に息抜きをするのも大切です。私の場合は、電車でスイス国内を一人旅することが良くあります。「世界の車窓から」の世界を肌で感じ、リフレッシュできます。

遠い開発途上国の現場へ | Ippei Tsuruga

今月、日本の大学から2組の学生さんたちがスタディツアーでジュネーブに来られます。私はILOでまだ2年目ですが、その都度少しずつ勉強をしながら、お話をさせていただく予定です。JICAに勤めていた6年間を通じて、同じような機会を何度もいただいてきました。その都度話すことを変えようと思っていて、自分の過去を振り返る良いきっかけにもなっています。このような機会に感謝しています。関係者の皆様いつもあり…

その他

私は前職で国際機関とJICAの援助協調に長年携わっていました。国際機関の印象は、よく言えば「多様性」があり、悪く言えば「協調性が無い」というものです。JPOとして約2年間ILOに在籍しましたが、国際機関が結束して「ONE UN」が実現されるまでの道程はかなり長いと感じています。つまり、ILOとUNDP・UNICEFは全く異なる企業文化を持ち、それ故、私たちのキャリアも各機関で全く異なるものになるということです。私たちは「国連」と一言で片付けてしまいがちです。先兵として皆さんより一足先に戦場へ足を踏み入れた私からのアドバイスは、「所属機関の企業文化をよく理解すること」です。UNDPの人事とILOの人事では、キャリアという戦場を最後まで生き抜くためのコツが大いに異なるわけです。世界のどこかでお会いできるよう、お互いがんばりましょう。

JICAからILOへ転職して、最初の1年で得たもの | Ippei Tsuruga

JICAからILOへ転職して、そろそろ1年が経ちます。新しい組織で働き始めるのは、いつになっても慣れません。事実、7年前にJICAへ入構した5日目にして、「何か違う」と思ったものです。この「何か違う」というのは、振り返るとネガティブなものではなく、新しい環境に飛び込んだ時に誰しも感じるものだと思います。プロフェッショナルとして大切なのは、その違和感を如何に自分のものにしていくかだと思っていま…