「発展は幸せのためでなくてはならない(ホセ・ムヒカ・ウルグアイ元大統領)

ウルグアイの元大統領ホセ・ムヒカは、世界中から集まった国家元首に対してこう語りかけます。

「発展は幸せのためでなくてはならない」

開発援助の仕事に携わっていると、研究者であれ、実務家であれ、政策決定者であれ、目の前の出来事にしか目を向けることができなくなります。森を見ているつもりでも、木を見ているにすぎません。この道路を作れば、東南アジアのいくつもの国の経済が活性化する。そんなくだらないことばかり考えて仕事してしまう。これが実態です。

私たちはいつの間にか、経済成長という魔法の言葉に騙され、持続可能な(Sustainable)という「在りもしない幻想」を言葉遊びで使っているに過ぎないのかもしれません。

経済成長を続け、90億人が現在の先進国の人々と同じように消費と浪費をする時代が来れば、地球の資源は足りるのか。向かっているゴールが「幻想」であるとすれば、SDGsの下で私たちが日々取り組んでいる貧困削減や不平等の是正など、何の意味もなさない戯言ということになります。

ナショナリズムが世界に広まり、各国が各国の利益のために動き、個人もそれに追随する時代が来ています。

世界は本当に正しい方向に向かっているのか。ムヒカ氏のようなリーダーが世界には必要なのかもしれません。