出版のスピード
ここ数年はブログを書いたりSNS投稿ができずにいますが、昔の自分の投稿から当時考えていたことと今の比較ができて面白い。
学術論文の査読や大きな組織で文書の最終稿を世に送りだすまでに要する時間と、政策や実務の現場のスピード感に大きな隔たりがあったこと。ネット時代なのだからドラフトを個人がどんどん公開すればいいと主張するとボコボコに叩かれた。
今はもう一般的になった感がある。コロナ禍で緊急性があるとして、未査読論文やWorking in progressと表紙に入った随時更新されていく刊行物まで、よく目にする。
現場の要請はいつだって何事も緊急で、不要不急なんてばかにするな、と誰もが自分の仕事に対して考えている。文書作成から公開までの期間が短くなり、荒削りの文書が溢れかえる世の中は、現場のニーズにあっているのだと感じる。
文書を読む側も対応しなければならない。これによって全く異なる能力が必要となる。大量にある荒削りの文書のなかから信頼に足るものを見つける探索力と、それを評価する鑑定力が必要な時代となった。この2つを担っていたのが、学術誌であり大組織のはんこリレーなのだと思う。