先進国駐在4年目の秋に気付いたこと
ワシントンDCに2年駐在し、ジュネーブも今年で2年目になります。これらの町に住んでいると日本の知人からは羨ましがられます。たしかに観光名所が多く、羨ましいのでしょう。ただ、生活するということは、それなりに苦労もあります。今日は駐在生活の苦労と利点をご紹介し、楽しむコツを考えてみたいと思います。
ワシントンDCとジュネーブに駐在すると料理が上手くなる
先進国駐在生活4年目にして見えてきた利点は、料理が上手くなることです。日本のサラリーマンや多くの途上国駐在員は、同僚や友人と夜な夜な飲み会を楽しんでいると思います。先進国駐在を始めて一番変わったのは、外食の回数ですね。ワシントンDCとジュネーブが顕著過ぎるのかもしれませんが、物価があまりに高いです。そのため、同僚や友人と外食に出かけることは一般的ではありません。特に20代~30代の同世代の多くは、薄給で生活していますから、一緒に外食へ行くことができる相手も限られてきます。
ジュネーブの外食産業の物価は肌感覚で東京の3倍。普通のランチで5千円、ディナーで1万円も驚かない程です。そこまで支払って何度も食べたい味に出会うことは稀なので、外食は多くて月に1度あるかないかです。独身男性であっても、365日中350日くらいは自炊をしている人が多いのではないでしょうか。かく言う私も、その一人です。先進国駐在は今年で4年目。料理の腕はかなり上がり、食べたいものは基本的に何でも作ることができるようになりました。
家族や恋人がいた方が良い
ワシントンDCとジュネーブの駐在生活は、家族や恋人がいるのといないのとでは大きく異なるような気がします。アフターファイブに職場以外で同僚と時間をともにすることはほぼありません。家族や男女という単位でコミュニティが成り立っているのが理由でしょう。たしかに、この点に関しては日本のサラリーマンも開発途上国での駐在員も同じかもしれません。ただ、ワシントンDCやジュネーブの駐在員は、より顕著に感じるはずです。
一日のほとんどを一緒に過ごす同僚はアフターファイブや休日の相手にはならないという明確な線引きがありますから、会社の外で知人を増やす必要があります。ただ、前述のとおり、同世代の若者と外食に行くことは一般的ではないため、何かのサークルに所属して知人を増やそうとする人もいるようです(フランス語ができないと仲間に入れない難しさはあります)。また、ジュネーブは国際都市と形容されることがありますが、実際には同じ国や地域の人で固まる傾向にあるようです。アジア人はかなり少数なので、こうした面でも仲間を見つけるのに苦労する人も多いです。
ホームパーティーは主催者が頑張る
外食をしないという話に関連して、「外食はしなくともホームパーティーをいつもやっているのでは?」というイメージをもたれている方もいるかもしれません。たしかに、ハリウッド映画などではよく出てくるシーンですね。
ホームパーティーを開催する場合、主催者とお客さんの役割が明確に分かれるのが新鮮です。日本であれば、準備や後片付けを手伝うのが一般的ですよね。私が経験してきたホームパーティーは、基本的にホストが準備も後片付けも全てこなしていました。そういうわけで、これを独身の人がやるのは結構大変だったりします。
20~30代の先進国駐在は精神力を鍛える場
先日、「ジュネーブで知人を増やすにはどうすべきか」と、着任して1年が経過する同僚に相談を受けました。それはあなた、相談相手が間違っているよ。私も先進国駐在4年目ですが、まだどうやって無理なく知人を増やしたらよいのかなど、正直よくわかりません。
我々の世代にとってワシントンDCやジュネーブは、楽しい時間を過ごしたり、プライベートを充実させたりするための場所ではありません。「仕事のために来ていて、他のことは忘れる修行の期間」と割り切った方が良い気がします。一人の時間がとてつもなく長いので、精神力が鍛えられます。精神的に参ってしまう方も多いようなので、ギリギリの闘いが続くかもしれませんが、これを乗り越えればどこでもやっていけそうな気がします。
開発援助の仕事をしていると、開発途上国での苦労はよく耳にします。先進国駐在する方は少数派なので、今回のような話も面白いかと思い紹介してみました。先進国も途上国も、大変な面と楽しい面の両方ありそうですね。攻略法はそれぞれ異なるので、慣れるしかないですね。先進国駐在を楽しむためのコツは、その国の文化に慣れること。という月並みな感じですね。