ILOの人事制度
人事制度の話で追記。給与体系等は国連本部の人事院のようなところが決めていておそらくほぼ準拠しているところが多い。ただ、例えばILOと世銀は専門機関同士でも、給与はおそらく結構違う。
契約期間の話。一年以上の期限付き雇用をFT、一年未満の契約はTA。雇用側としてはTAはFTより社保・福利厚生面で安い。
日本の方から正規雇用・非正規雇用とよく聞かれるけれど、感覚的に機関による。ILOは産休等の欠員補充以外はTAはほとんど出ないが、別の機関ではTAばかりでFT出ないと聞く。
雇用の安定性という意味で、TAかFTかというのは機関による。私の場合、ILOではずっとFT。ただ、安定しているかと言われれば、昨年は4回契約書を交わしているので、そんなことはないと思う。キャッシュフローの良い機関から、TAで364日もらい、毎年何だかんだ契約を貰える機関を羨むこともあった。
まとめると、正規雇用・非正規雇用は誤解を生む。TA・FTも誤解を生む。雇用の安定性のみを考えると、大事なのはキャッシュフローの潤沢な機関を選ぶということ。
キャッシュフローの話で補足。機関によって、ドナー国の担当省庁が異なる場合がある。他の機関・国の詳細はわからないが、日本の場合、外務省ラインとそれ以外があって、ILOへ日本政府が任意拠出する場合、財務省が厚生労働省へ予算配賦してILOへ支援いただく。ODA予算の多くは外務省が管轄している国が多かったり、外務省の在外公館を通じて緊急支援で補正予算をつける国も多いと思う。なので、期中に予算が追加拠出されて契約が延長された、という話が多いのは、ドナー国の担当省庁が予算を持っている機関。
なお、FTなのに単年に複数回契約更新するロジック。私はJPOは2年未満で辞めているのですが、その後年に2-4回くらいFT契約に署名していて、幸いなことに切れ目はありません。JPOから契約切れずに別のポストと契約する場合、行き先の契約期間が一年未満でも、ILOではFT扱いになります。ILOの場合、交付金部分のRBポストは少ないので、任意拠出金予算が多い。予算の制約で36ヶ月プロジェクトで人件費18ヶ月しかない、とかあるので掛け持ちしながら複数プロジェクトの財布から少しずつ合わせて、自分やスタッフの契約伸ばしています。なので、FTの延長はFTですが、予算がなかったり、予算の組み換えが事務的に追いつかずに2ヶ月延長とかザラにあります。
最初の話に戻る。正規雇用・非正規雇用・安定性、いろいろ不安はあると思いますが、機関によりけり。それから、引退するまで不安は付きまとう。なので、考えても仕方なく、先を考えず。目の前の仕事を淡々と片付けていくことで、自分に対する約束を果たしていく。そうやって自信や実力が追いついてくる。