RCTが理解を得られない

RCTは予算がかかりすぎるのと、設計しても同僚の理解を得られない弊社から見れば羨ましい限りです。

昨日も本部の人からRCTで行動変容についての取り組み可能性を聞かれた。人件費以外で活動費1-2000万円くらいの年間予算の中から、3-5000万円かける余裕はないという話をした。RCTの結果は興味深いのだけれど、政労使のパートナーにプレゼンしても「興味深い」で終わってしまう現実があり、予算を割けないのが実態。こういう取り組みは、Cashやin-kindを配っている組織が、「効果があった」と理由付けするためにやるのに適している。多額の給付をして効果がなかったという結果は滅多に出ないはず。一方、RCTの弱点は、「その予算を別の事業に使ったほうがもっと効果があったのでは?」という私がよく問われる政労使の政治家たちに対して、説明できないこと。こういう議論を技術協力で回している中だと、どうしてもRCTを組み込めないのが現状。

ちなみに昨日のトピックは、家政婦に社会保険を適用するためにはどうすべきか。東南アジアでは住み込みの家政婦が一般的で、日本を含む多くの国では家政婦は労働者とみなされず、最低賃金や社会保険の適用がない。インドネシアの場合、家政婦の保護をうたう法案が審議されているが、引き続き労働者と扱う方向性ではなく、家政婦独自の規程を議論している。最低賃金の適用はなく、社会保険の適用も任意というの最新の議論。

政労使の関係者に、労働者として扱うように具申した際、労組のリーダーから言われたことが印象的。「私たちは炊事、洗濯、掃除、子育てを自家政婦無しではできない。」政策に携わっている人たちの多くは家政婦のいる家庭で育ち、家事を自分でやる能力も経験もない。不平等の利益を受けている人たちが議論している限り状況は変わらない。

そこで行動変容を促す方法をRCTで導き出そうという試みが、ILO本部の研究者がやっているようだ。これが昨日の話。