使える報告書の作り方

開発途上国の政治家と実務家に使ってもらうにはどうすべきか」悩みは尽きないという話をした。「あなたの論文が読まれない理由」を書いたきっかけも、どうしたら科学的根拠を政策へ使ってもらえるか、という作り手としての問題意識からだった。色々な答えがあるだろうが、対象国の政治サイクルや実務家のタイムラインに乗せることが、報告書を使ってもらうための最低限の条件だと思う。それに関連していくつか身の回りの事例を振り返ってみる。

「使ってもらえる」ものを作るというのは、単に内容が優れているだけではダメだということを痛感している。特に開発パートナーや有識者が多い国では、一つの課題に対して大量の報告書が国内外の団体から政府に寄せられる。東南アジア諸国のように英語がネイティブではない国では、英語の報告書が実務家に読まれている実感はない。また、あまりに複雑で読みにくい報告書は、その他の膨大な資料に埋もれ、後回しにされてしまう。

「使ってもらう」ためには、小さなことだが、言葉の壁をなくすことは最低限の配慮すべきであり大切だと感じる。会議でプレゼンする機会を得られるのであれば、一対一の会議であっても予算が許す限り同時通訳を入れる。相手に資料を共有する場合は、草案の段階でも全文を翻訳する。

最近よくあるのは、200ページの包括的な報告書を提出する際、「短くしてほしい。ただし、要約より詳しいものを作成して欲しい。」といった追加発注を頂き、数ページの追加資料を作成すること。当然、全文報告書は本棚に、後者が「使われるかもしれない」という位置づけとなる。この際に大切なのは、この資料が相手に負担を強いるのではなく、相手の実務に限りなくそのまま使える内容にしておくこと。もちろん、省内の文書を外部機関が作成することはできないが、相手の痒い所に手が届く情報の出し方を探ることが大切となる。

「提言を採用するかは先方政府次第」と割り切るという考え方もあるが、使われないと意味がないので、トライアンドエラーを繰り返している。同じような試行錯誤を繰り返している同業の方は多いのではないだろうか。


追記:ICT4D.JPで狩野さんも同じような問題意識を丁度書かれていた。こちらで紹介されているJPALの試みは見せ方として勉強になる。

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