JICAから国連へ移籍して一番の大きな変化

JICAから国連へ移籍して一番の大きな変化は、時間の捉え方です。

JICA職員として働いていたときは、短期、中期、長期プランを持ってキャリア形成することを考えていました。10年、20年といったスパンで物事を考えていたわけです。期限付職員や嘱託職員でも2年から5年のプランはたちます。

一方、現在はどうでしょうか。国連職員は皆さん同じだと思いますが、最長一年契約です。同僚の中には数日から数ヶ月単位で仕事をつなぐ人も多いです。国連に移って一番大きな変化は、時間の捉え方が一気に超短期となったことでした。

これは良い面と悪い面があります。良い面としては、どんなにシンドイ仕事であっても一年間猛烈にやり遂げれば、そこで解放されるという逃げ道があることです。悪い面としては、一年後の自分が全く想像つかないことです。どの国に住み、何をやっているのか。その状況で公私の計画を立てることはとても難しいです。

いずれにせよ、国連職員は図太い神経が求められる気がします。超短期の消耗戦を繰り返していくイメージです。

この差が実務に影響する場面もあります。私はJICAにいたころ国際機関との会合のセッティングをしばしば担当していました。これが極めて難しいのです。JICAでは数カ月から一年前倒しで国際会議を検討するわけですが、国際機関ではそれ程長いスパンで計画がなされることは稀です。特殊なハイレベル会合くらいでしょう。

実際、私も数日前に招待状を受け取って、今週はまたインドネシアへとんぼ返りすることになりそうです。これくらいショートノーティスで国際機関が仕事をするものだから、日本の関係者はいつも立腹したり呆れたりすることとなります。

しかし、会合へ出てみると意外にも役者はしっかりそろっていて、格好良く終わることもしばしば。結局のところ、大半の人がこれくらいショートノーティスで仕事をしていて、長期計画を立てられる日本の働き方が例外なのかもしれません。

では日本はどうしたら国際機関のショートノーティス文化に対応できるのか。各国のオフィスに人員配置し、物理的にすぐに出動できるようにしておくしかないのでしょう。

ただ、どこまで付き合うのかというのは別問題ですけどね。役者が欠席しても適当に別の人を連れてきて会議は格好良く終わるはずです。