国会議員の政策活動費は多すぎる?ILOの政策事業チームの経費と比較

自民党の派閥が政治資金を正確に報告せず裏金化していた問題で、派閥が次々と解散に追い込まれている。その渦中、二階議員の事務所が政策活動費として2年間で10億円支出していたとして、説明を求められている。

本来、政策立案に使うべき費用項目のようで、私も似たような仕事をチームで運営しています。ILOに所属していますが、社内でチームを経営しているような感じで、議員事務所に近い規模なのではないかと思います。

今回は、ILOの社会保障政策チーム運営に要した年間経費を参考までに振り返ります。年間一億円。インドネシアとミャンマーの二か国、常勤八人、非常勤二名。活動費の多くは業務委託で常時三十人程度。

6,000万円 人件費

1,000万円 光熱費・家賃・間接費

3,000万円 活動費

これは二カ国の事業運営で合計五案件。拠出元への報告義務が年に案件数プラスαであります。3,000万円の業務委託を数十人に行い、同時並行で調査業務を展開します。そのため、上に立つ者は、ほぼ毎週・毎日、委託先から上がってきたドラフトに目を通し、コメントを返す作業に追われます。

同時に、政策分析を行った結果をプレゼンするの私の仕事です。要人との外交(機会の獲得、ロビーイング)やプレゼン資料準備を、職員や委託先への指示と並行して行います。この規模で仕事をしていると、中央省庁がある首都で打ち合わせが完結し、それだけで多忙となるため、出張はほぼ不可能でした。

なお、この資金規模で政策支援事業を運営している弊社の職員は少ないです。JICA時代の教育もあり、出資者への説明責任の観点から活動費を使った成果報告書は可能な限り公開しています。私のプロフィールにある通り、チームとして何十本も報告書を出しています。

私の現在の環境では、一か国三名で人件費以外の活動費が1,500万円くらいで手一杯です。経験上、活動費支出を増やすためには、物品購入やグッズ作成は論外として、高級ホテルで会合を催すか、委託を増やすことが常套手段となります。

しかし、意味ある委託をするには、数十ページの指示書を何十本も書かねば年間3,000万円は支出できません。一件あたり300万円としても、十本。日当5万円払ったとしても600日分の指示書を書くことは容易ではありません。指示書を書くのをサボって丸投げすれば支出は増えますが、目的は達成できません。